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BIG COUNTRY

 

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<左から> トニー・バトラー(Bs)/スチュアート・アダムソン(V/G)
ブルース・ワトソン(G)/マーク・ブレゼジッキ(Dr)

  

70s後半のパンクムーブメント。その頃活躍したTHE SKIDS (77-82)の中心人物・スチュアート・アダムソンによって、英国スコットランドで結成されたオルタナ系ハードPOPグループ。
英国民謡的な郷愁深いメロディーを軸に、バグパイプのようなリードギター、骨太のギターライン、重厚なドラミングを巧みに組み合わせた、肉食系「男のロック」を展開してくれた。(女性には受けはよくなかった記憶がある)
 
ワンパターンな曲作りにとどまらず、シンセやスクラッチを駆使したバージョン違いの12インチシングルの制作にもかなり力を入れていたし、ライブパフォーマンスにもかなりの評価を受けていた。是非とも、彼らのライブDVDをご覧いただきたい。「百聞は一見にしかず」....ロックファンならば必ず惹き込まれるだろう。
80s半ばまでのアグレッシブな活躍は、同系のバンド・U2やシンプル・マインズをかなり押していたように思う。

ほとんどの80sバンドがそうであったように、90sでは話題になることも減り、地道なオヤヂバンド扱いされてしまう。特に、リーダーのアダムソンは精神面でもかなり行き詰っていたようで、重度のアルコール中毒に陥ってしまい、イギリスでは手に負えなくなり、2000年からアメリカで治療を受けるまでに悪化していた。
2001年12月19日、不幸なニュースが突然舞い込んできた。

「ビッグ・カントリーのスチュアート・アダムソン首吊り自殺」....たまたま見ていた衛星放送の「CNN」が報じた。

「ナッシュビルの警察によると、アダムソンが12月16日(日)、ハワイのホノルルにあるプラザ・ホテルの一室で死んでいるのが発見された。43歳だった。バンドのマネジャー/イアン・グラントによると、アダムソンは11月以降行方不明になっていたという。
7歳になる彼の息子カラムが、11月7日にアダムソンからのメッセージ「日曜日の昼には戻る」を読んだのを最後に、彼からの連絡は途絶えていた。11月15日にはアトランタで目撃されていたが、ナッシュビルの彼の家には帰宅していなかった。
アダムソンと親しい知人が彼を見つけ出そうとしたが失敗。11月26日には別居中の妻メラニー・シェリーがアダムソンの失踪届を出し、警察に調査を依頼した。
ビッグ・カントリーのオフィシャル・サイトでグラントは次のようなメッセージを掲載した。
「自分の机でこんなメッセージを打ち込んでいるなんて、信じられません。スチュアート・アダムソンはハワイのホテルの部屋で、死体で発見されました」
また彼はアダムソンの死について、その他のことはまだ分かっていないとも伝えている。」(BARKS.JPより転載)

80sファン、並びにオヤヂロッカーたちには、晴天の霹靂---超衝撃的なニュースとなった。

直後、バンドは休養を表明。07年には悲しみを乗り越えたのか、残った3人で再結成を果たしている。
2010年に、元アラームのマイク・ピータースをボーカルに迎えて、全英ツアーを行った。

スチュアート・アダムソンよ、永遠なれ!!

 <Written by ERIRIN兄 2011.1.7.>

(91) NO PLACE LIKE HOME   (93) THE BUFFALO SKINNERS   (95) WHY THE LONG FACE?
(99) DRIVING TO DAMASCUS  (02) JOHN WAYNE'S DREAM
 

 

DISCOGRAPHY

ALBUMとSINGLEの売上成績です。

(USA/BILLBOARD CHARTより)

 

THE CROSSING (1983)

83US 18

84USY 54

83UK 3

 

 
In A Big Country/Inwards/Chance/1000 Stars/
The Storm/Harvest Home/Lost Patrol/Close Action/
Fields Of Fire/Porrohman/
 
<1996年リマスターCD-Bonus Track>
Angle Park/All Of Us/The Crossing/Heart & Soul


<2002年リイシューCD-Bonus Track>
Wonderland/Angle Park/All Of Us/The Crossing/
Chance (single verson)

 

HARVEST HOME

82UK

91

IN A BIG COUNTRY  

83US

17

83UK

17

FIELDS OF FIRE

83US

52

83UK

10

CHANCE

83UK

9

 


邦題は、シングルと同じ「インナ・ビッグ・カントリー」。
プロデュースは、U2とシンプル・マインズをスターダムに押し上げたスティーヴ・リリーホワイトが当たっている。イギリス北部の厳しい自然を連想させるような、リリーホワイトの真骨頂的な作品だ。
 
本国イギリスのみならず、全世界で500万枚以上を売り上げる大ヒットを記録した怪物アルバムでもある。かといって、決してメロディックな「産業ロック」的な作品ではない。世界のロックシーンが激変した、83年という節目の年を象徴する1枚に押したい。
 
構成的には、彼ららしい郷愁あふれるメロディと熱いパワー溢れる、傑作といえよう。スコットランドの広大な大地への憧れを膨らませたものだった。
BCファンの間では、このアルバムを最高傑作と呼ぶ声も多い。
 
アナログ盤として考察すると、カッティングエッジを広くとり、音質にもかなりのこだわりがあるのがわかる。
ゆえに曲数を10曲に絞り込むのに、グループ内の意見がだいぶ分かれたらしい。アルバムタイトル曲の"THE CROSSING"を収録せずに見送った程だ。タイトル曲をレコーディングしたにもかかわらず、あえて収録しなかったというアルバムは、歴史上非常に珍しい。
 
余談だが、唯一の全米ヒット、メジャーシングルとなった"IN A BIG COUNTRY"だか、日本でも83年6月に柳ジョージがカバーし、話題になった。
原曲を更にワイルドにしたような雰囲気があり、このカバーもなかなかいい出来だった。
 
<ERIRIN兄/2011.1.7.>
 

 

WONDERLAND (1984)
<mini LP>

84US 65

 

 

WONDERLAND

84US

86

83UK

8

  
<US Release>
Wonderland/Angle Park/All Fall Together/
Chance (Extended Remix)/The Crossing/Heart & Soul


<JAPAN Release>
Wonderland (Extended Mix)/All Fall Together/Angle Park/
Heart & Soul/Lost Patrol (single verson)
 
発売された各国で収録曲が違っている。意図は不明。
発売当時、チェックせずに買ったため、US、JP、UKの3種類所有することになってしまった。レコードを買う際は、裏面の収録曲をチェックすべし。


 

 FIELDS OF FIRE (1983)
<mini LP-JAPAN only>
 


IN A BIG COUNTRY ( Pure mIx)
CHANCE (12" Version)
FIELDS OF FIRE (Alternative Mix)
THE CROSSING
TRACKS OF MY TEARS (Live)

 

83年に発表されたシングル3曲のリミックスを収録。
当時の日本盤では、このようなリミックス集の企画ミニLPが、頻繁にリリースされていた。(輸入盤12インチを何枚も買うより、お得だった)
"TRACKS OF MY TEARS"はリンダ・ロンシタットもカバーした、60sのミラクルズの名曲バラード。彼らのライブでは、ジャンル問わず意表をつくようなカバー曲をやってくれた。
ファンサービス精神旺盛なグループだったといえよう。



 

 

STEELTOWN (1984)

84US 70

84UK 1

 

  

 

EAST OF EDEN

84UK

17

WHERE THE ROSE IS SOWN

84UK

29

JUST A SHADOW

85UK

26


 

THE SEER (1986)

86US 59

86UK 2

 

 
Look Away/The Seer/The Teacher/I Walk The Hill
Eiledon/One Great Thing/Hold The Heart/
Rememberance Day/Red Fox/Sailor
Song Of The South

 <1996年リマスターCD-Bonus Track>

Look Away (12" mix)/One Great Thing (Disco Mix)/
Giant
 
 

 

LOOK AWAY

86UK

7

THE TEACHER

86UK

28

ONE GREAT THING

86UK

19

HOLD THE HEART

86UK

55

 
SADEの生みの親でもあるロビン・ミラーをプロデューサーに迎え、アメリカのマーケットへの本格的進出を狙った3作目。
タイトル曲の"THE SEER"には、ケイト・ブッシュがボーカル参加している。
 
シングルカットされた4曲の出来栄えは秀でてはいるものの、正直申し上げて、アルバムとしてはあまりオススメできない出来栄えだ。
前2作よりも強めの打ち込みを前面に出すと同時に、ソリッドなギターは控えめの味付け程度に落としている。曲構成もとりとめがない。
まさに、全米受けしそうなカラフルなPOP路線へ切り替わっている。
彼ら独特の郷愁感と、切れ味が損なわれた感は否めないだろう。

この根底にある原因は、やはりプロデューサーの変更にあるのか??
U2とシンプル・マインズのように、リリーホワイトの呪縛からスカッと脱皮することは、このグループには難しかったことなのかもしれない。
 
シンプル・マインズがすでにアメリカで成功を収めたこと、そして以前からスチュアートが抱いていたアメリカへの憧憬の念が非常に強かったことなど、全米進出のタイミングとしてはとても良い機会だった。
 
契約先のマーキュリー・レコードも必死のプロモートを仕掛けた。
86年3月から年末に至る、グループとしては最長となるワールドツアー"THE SEER TOUR"を敢行。8月には、待望の全米ツアーを実施するに至った。全米各地で高評価を受けたものの、レコードセールスにはつながらず、このアルバムのセールス的には失敗に終わってしまった。
 
バンドにとって、プロデューサーは一心同体なのかもしれない.....

<ERIRIN兄/2011.1.8.>

 

PEACE IN OUR TIME (1988)

88UK 9

 

 
King Of Emotion/Broken Heart (Thirteen Valleys)/
Thousand Yard Stare/From Here To Eternit/
Everything I Need/Peace In Our Time/
Time For Leaving/River Of Hope/In This Place/
I Could Be Happy Here/
 
<1996年リマスターCD-Bonus Track>
The Travellers/When The Drum Beats/
Starred And Crossed/Longest Day

 

 

KING OF EMOTION

88UK

16

BROKEN HEART (Thirteen Valleys)

86UK

47

PEACE IN OUR TIME

86UK

39

 
今回は、アメリカ人の売れっ子プロデューサーだったピーター・ウルフを迎えている。スターシップやハートを復活させた敏腕ではあるが、何故彼らのプロデュースを引き受けたかは意図不明である。
バックボーカルに、60sから活躍する実力派ゴスペルシンガー・メリー・クレイトンが参加しているのも異色な組み合わせだ。
 
このアルバム、とても完成度が高く聴きやすいことは確かだ。構成面並びに、聴かせる音作りの面では前作以上の評価はしたい。
しかし、彼ら独特の郷愁感も感じるのだが、スコットランドではなくアメリカ中西部の匂いがしてしまう。私自身、アメリカンロックは三度の飯以上に好物なのだが、どこか違和感を感じざるを得ない。
ピーター・ウルフが手がけたという先入観は取り除いても、ビッカンらしさは薄れてしまっていることは否めなかろう。
 
<ERIRIN兄/2011.1.7.>

 

オススメBEST CD

THROUGH A BIG COUNTRY (1990)

 

 

 

Save Me /Look Away/In A Big Country/
King Of Emotion/Fields Of Fire/East Of Eden/
Chance/One Great Thing/Wonderland/
The Teacher/Where The Rose Is Sown/
Broken Heart (Thirteen Valleys)/Just A Shadow/
Peace In Our Time


新曲"SAVE ME"を含む、彼らの初ベスト。収められているのはシングルヒットばかりではあるが、どの曲もやはり秀逸な曲ばかりだ。
10回以上リピートさせてかけても、全く飽きがこないメリハリ感は「スゴイ」の一言。

 

 

GREATEST 12" HITS (2001)

 

 

 

East Of Eden/The Teacher/Wonderland/
Fields Of Fire/Just A Shadow/Chance/
Where The Rose Is Sown/In A Big Country/
Save Me/One Great Thing/Look Away

83年から86年の黄金期に残したリミックスの傑作集。彼らの12インチシングルへのこだわりと、ミキシングのレベルの高さを感じてほしい1枚。
アナログでは聴きとれなかった、隠れた音源が再発見できるのもうれしい。

 

 

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