Artist |
PRISM |
Title |
SMALL CHANGE |
Release |
1981 |
ジャンル |
ROCK, AOR |
表 裏
Don't Let Him Know <シークレット・ラブ> Turn On Your Radio <オン・ユア・レイダー> Hole In Paradise <パラダイスの罠> Rain When Will I See You Again <またあう日まで>
Heart and Soul Stay When Love Goes Wrong <別れの季節> In The Jailhouse Now <ジェイルハウス・ナウ> Wings Of Your Love <愛の翼>
Produced by (JOHN) CARTER
CD入手方法
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大鏡の前で、鏡に映った自分の姿を健気な眼差しで見つめる少女..(私的なことで申し訳ないが)私の部屋には、20年近くも額縁に入れて飾ってある1枚のアルバムがある。何を隠そう、それが本作(邦題は「少女のように」)だ。 本作のジャケ写に採用されたのは、アメリカが誇る現代画家/ノーマン・ロックウェル(1894−1978)による「GIRL IN THE MIRROR(鏡の少女)」といタイトルの傑作中の傑作である。なんともノスタルジックで癒される作品だと思う。そんな理由だけで本作を選んだわけではなく、もちろんアルバム自体にもちゃんと中身が伴っている。
80sにおいてリリースされた数ある「産業ロック」アルバム(最近では「メロディック・ロック」と呼ばれているようだが)の中でも10本の指に入るほどに完璧な出来だと思う。 彼らの70sの地道な活動が認められ、80sに入った直後にカナダのマイナーレーベルから全米大手キャピトル・レコードに移籍する。しかし、移籍第1弾の4thアルバムがセールス的な成果が上げられず、また家の事情でボーカルのロンが脱退せざるを得なくなったこともあり、残されたメンバーはもがき苦しんでいた。そこでキャピトル主催のオーディションで選出されたアメリカ人のヘンリー・スモールがボーカリストとして加入、それまでのプログレハード的ポップ路線から、当時隆盛を極めていたAOR的「産業ロック」路線へと小幅ながら方向転換を見せたのが本作である。 ヘンリー1人のペンによる3曲、まだ無名時代に面倒を見ていたブライアン・アダムスと元メンのジム・ヴァランスという強力ソングライタータッグから2曲の提供を受け、曲作りの面でもアルバムタイトル通りの「小さな変革」を見せた。 1stシングルとなった“DON’T LET..”は、81年にまずは本国カナダでbPをゲット、続いて全米ロックチャートでもbPに輝いた。ポップチャートでもTOP40入りを果たすなど、アダムス/ヴァランスのコンビらしい、重めのサイドギターが曲全編を支配するドライブ感に満ちた極上のポップロックだ。このコンビは他に、メロディアスな泣かせるバラード“STAY”も提供している。2曲ともブライアン自らによるテイクで聴いてみたくなってしまうほどに、「ブライアン・カラー」の強いナンバーだ。 もちろんプリズムならではというナンバーも多く、とりわけ“HOLE IN PARADISE”がそうだろう。へヴィな展開を見せるパワー型のロックチューンで、リンゼイのリードギターが竜のごとく暴れまわっている。 同様にへヴィなギターロックナンバーの“HEART AND SOUL”、50sの名曲をソリッドな形で見事に80s風にカバーした“IN THE JAILHOUSE NOW”、スリー・ディグリーズの70sの名曲と同タイトルの洒落たミディアムロック“WHEN WILL I SEE YOU AGAIN”あたりにも十分にプリズムらしさが出ていると思う。 デビュー当時からのファンにとっては、あまりにも変化してしまったという感覚は拭えないかもしれないが、先入観を取り払って純粋に聴いてみてもらいたい1枚だ。 <written by ERIRIN兄, 2003.2.28.> |