DEDICATED TO ROB FISHER

 088

 

naked eyes


 

だれにでも、息が短くとも強い印象を残すグループの記憶があることだろう。まさにこのエレポップデュオは、多くの80sファンに強いインパクトを焼きつけ、今なお愛され続けているのだから驚異的だ。何を隠そう、私もその1人である。

83年5月。時はまさにブリティシュ・インベイション(以下B.I.と略)に沸き立っている最中に、彼らは彗星のごとく登場してきた。それまでのB.I.の特徴としては、すでに1年前程に本国イギリスでブレイクし終わった、いわゆる「お下がり」ヒットが多かったが、彼らによって初めて全米市場のみでブレイクするというキッカケが作られたともいっていいだろう。そして80s半ばにかけて、やや頭打ちになっていたB.I.に、全米市場狙いという新手(FIXXやWANG CHUNG、OUTFIELDら)のムーブメントが引き起こることになるのである。

 

彼らの出会いは、79年暮れまで遡る。当時ふたりはNEONというアマチュアグループに所属、このグループには後にTEARS FOR FEARSを結成したカート・スミスとローランド・オーザベルも在籍していたというのだから凄い。このNEONは自主制作レコードをリリースするも81年に解散、NAKED EYESとT.F.Fへ分裂したのであった。本国でのT.F.F.の成功を尻目に、ふたりはEMIと契約するために渡米。T.F.F.から約1年遅れの83年3月にデビューを飾った。

 

全米で受けたからといって、Naked Eyesの2人のクリエイトするサウンドは決してアメリカンロックではなく、やはり純英国産のエレポップであることにはかわりはない。
なぜここまで受けたのか?ひとつには、キャッチーなバカラックサウンドのカバー「僕はこんなに」でデビューした点にある。しかし普通はカバーの一発に終わってしまうのが常だが、知名度を得た後の2弾目、3弾目において、彼らのメロディメーカーとしての卓越したセンスが認められた点も忘れてはなるまい。

全英チャートもチェックしていたマニアの盲点となってブレイクを決めた彼らも音楽性の相違を理由に84年後半に解散に至る。
 
その後ロブはビリー・オーシャンらに楽曲提供をしていたが、85年にクライミー・フィッシャーを結成、80s後半にもうひと花咲かせたが、99年に胃がんで他界してしまった。(享年42歳)
ピートのほうはアメリカに残り、現在も自主制作盤をリリースするなど、現役で活動中だ。

<written by ERIRIN兄, 2003.1.9>
 2005年に、ピート・バーンズ一人だけで"Naked Eyes"を復活させた。積極的にツアーをこなすと共に、2007年には、60sの名曲のカバーとセルフカバーを詰め合わせたニューアルバム"Fumbling With The Covers"を発表した。
<ERIRIN兄/2011.2.3.>



nakedeyesmusic.com  
 

 

[左]ピート・バーン(V)

[右]ロブ・フィッシャー(Syn,fo.CLIMIE FISHER
 
Relate....TEARS FOR FEARS
 
PETE BYRNE solo  (01) THE REAL ILLUSION
 
(07) FUMBLING WITH THE COVERS
(10) PICCADILLY

DISCOGRAPHY

ALBUMとSINGLEの売上成績です(USA / BILLBOARD  UK/ RECORD MILLER CHARTより)
 

BURNING BRIDGES (1982)

<U.K.Release>

 

 

Burning Bridges/Voices In My Head /
I Could Show You How/Very Hard Act To Follow/
Always Something There To Remind Me/
Fortune And Fame/Could Be/Emotion In Motion/
Low Life/Time Is Now/When The Lights Go Out/
Promises, Promises
 
アメリカ盤よりも2曲多く収録されている。(赤字の曲)
70s後半に主流となっていたテクノポップに忠実な音で、個人的にはかなり好きな部類の音作りなのだが、83年当時のイギリスでは、ややアウト・オブ・ファッションに写ってしまったのだろう。
70s後半に活動していたテクノ系グループ"New Musik"に在籍していたトニー・マンスフィールドをプロデューサーに起用した事も、テクノ色の強い音作りになった大きな要因になっている。マンスフィールドは、85年にブレイクしたA-HAのプロデュースを担当、世界的に高い評価を受けた。
 
要所要所をしめた完成度の高いアルバムなのだが、本国では、全く日の目を見ることなく、終わってしまった。
(下記チャート参照)
日本盤は、こちらのUK盤の収録内容でリリースされた。
<ERIRIN兄/2011.2.3.>

 

NAKED EYES (1983)

<U.S.Release>

83US 32

83USY 62

 

 

 

ALWAYS SOMETHING

        THERE TO REMIND ME
 

83US

8

83USY

46

83UK

59

PROMISES, PROMISES

83US

11

83USY

64

83UK

95

WHEN THE LIGHTS GO OUT

83US

37

 

Always Something There To Remind Me/
Fortune And Fame/When The Lights Go Out/
Voices In My Head/Low Life/Promises, Promises/
I Could Show You How/ Emotion In Motion/
Burning Bridges/Could Be
 
先行リリースされた本国イギリス盤(上記)よりも、収録を2曲削り、曲順を大幅に入れ替えている。アメリカのマーケットを狙った戦略だろう。
3曲のTOP40ヒットを放ったのはやや意外ではあったが、3曲ともメロディックでキャッチーな曲だし、PVも良くできていた。
バカラックナンバーのカバー"Always Somthing There..."は、64年のサンディ・ショウのバージョンが有名だが、他にもジャンルを越えて多数のアーティストがカバーしたエバーグリーンでもある。
邦題は「僕はこんなに」というのが一番多いが、「恋のウエイト・リフティング」とか「風のメモリー」とか、つけられた邦題も多彩だ。
 
"Promises,Promises"はUSシングル用に、リミックスをジェリービーンに依頼、ダブを重ね打ち込みを増やし、キレのいいアレンジに変身した。
監獄を舞台としたこの曲のPVも、USバージョンを使用している。
<ERIRIN兄/2011.2.3.>
 

 

FUEL FOR THE FIRE (1984)

84US 83

 

 

 

(WHAT) IN THE NAME OF LOVE

84US

39

 

(What) In The Name Of Love/New Hearts/Sacrifice/
Eyes Of A Child/Once Is Enough/No Flowers Please/
Answering Service/Me I See In You/Flying Solo/
Flag Of Convenience
 
邦題は「イン・ザ・ネーム・オブ・ラブ」。
アメリカのマーケット向けの「メイチ」勝負に出た作品で、キレのいい打ち込みを増やし、ギター類も前面に出している。どちらかといえば、アメリカン・ニューウェイブの色合いがかなり強くなっている。
 
シングルとなった"(What) In The name Of Love"は、イギリスと日本ではすでにシングル"Promises, Promises"のB面として83年に発表済みの曲だったが、分厚くカッコいい音で甦った。
"Sacrifice"と共に、アーサー・ベイカー御大自らプロデュース、御大らしい個性的な「ワァッ!」という犬が吠えたような、キャッチーなフレーズが追加された。タイトルに(What)が冠された意味も、ここにある。
日本ではあまりオンエアがなかったが、コメディタッチのPVも面白かった。
この2曲以外は、彼ららしい「テクノポップをベースにしたニューウェイブ」のメロディックな曲が多いので、前作とあまり違和感なく楽しめる。
 
セールス的には失敗、EMIから解約され、解散を余儀なくされた。
未だCD化されていない。CD化熱望!
<ERIRIN兄/2011.2.3.>
 

 

オススメBEST CD

PROMISES, PROMISES;

THE VERY BEST OF (1994)

 

 

ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME/

PROMISES, PROMISES (U.S. Version)/

WHEN THE LIGHTS GO OUT/VOICES IN MY HEAD/

(WHAT) IN THE NAME OF LOVE/SACRIFICE/

NO FLOWERS PLEASE/FORTUNE AND FAME/

EMOTION IN MOTION/ EYES OF A CHILD/FLYING SOLO/

NEW HEARTS/ME I SEE IN YOU/LOW LIFE/

I COULD SHOW YOU HOW/BURNING BRIDGES/

A VERY HARD ART TO FOLLOW/THE TIME IS NOW/

FLAG OF CONVENIENCE/

PROMISES, PROMISES (U.K. Version)/

 

ファーストから12曲、セカンドから8曲という全20曲を収録。品薄ですが、探せば見つかると思います。

他に91年リリースの15曲収録の“BEST OF”があります。

 

EVERYTHING AND MORE (2002)

 

 

 

PROMISES, PROMISES (Jellybean 7"Mix)/

ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME (12"Mix)/

PROMISES, PROMISES (Tony Mansfield 12"Mix)/

(WHAT) IN THE NAME OF LOVE (Arthur Baker 12"Mix)/

SACRIFICE (Arthur Baker 12"Mix)/

PROMISES, PROMISES (Jellybean 12"Mix)/

PIT STOP/SWEET POISON/ONCE IS ENOUGH/

ANSWERING SERVICE/

(WHAT) IN THE NAME OF LOVE (Byrne/Fisher Mix)/

MAKING WAVES/COMMUNICATION WITHOUT SOUND/

ME I SEE IN YOU/REMOTE CONTROL/

 

リミックスや未発表テイクを数多く含む、まさにコレクターズ・アイテム的1枚。こういう企画盤、ガンガンとリリースして頂きたいものですわ。
最近アマゾンで見たら、とんでもないプレミアがついていた。買っといてよかったっす。

 

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